かぴばら先生は語る

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小説、アニメ、マンガ、文学からエンタメまで色々と話せたらと思い、ブログを開設。興味のある方はぜひご覧になってください。

「忌館 ホラー作家の棲む家」の世界はリアルかフィクションか

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三津田信三さんの作品は面白いですよね。

ホラー作品は勿論、ミステリーもお手の物。

最終的にその二つを融合したホラーミステリーなんて代物を世に送り出し今でもその融合性を高めんと小説を出し続けています。

有名なのは刀城言耶シリーズ「厭魅の如き憑くもの」などの土着性の高いホラーミステリー

横溝正史(「八つ墓村」など)に繋がる雰囲気を醸し出しながら、最近の作家で云えば京極夏彦の緻密性、同時に奇妙な物語。

民俗学やら日本神話についての蘊蓄をひけらかしながら構築していく世界観。

今回紹介する三津田信三さん処女作「忌館 ホラー作家の棲む家」に関しても似たような事を云えるかもしれません。

ミステリーやら建築学やら様々な蘊蓄をもってこの摩訶不思議な世界観をゆっくりと確実に構築していく。

最終的にその世界観は現実に実際起こりえた出来事なのか、それとも完全なフィクションなのか、どっちともつかない気味の悪い、そして最高の感覚を体験することになります。

詳しく紹介していきたいと思います。

「忌館 ホラー作家の棲む家」

忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)

忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)

 

奇妙な原稿が、ある新人賞に投稿された。“私”は友人から応募者の名が「三津田信三」だと知らされるが、身に覚えがない。そのころ偶然に探しあてた洋館を舞台に、“私”は怪奇小説を書きはじめるのだが…。本格ミステリーとホラーが見事に融合する三津田信三ワールドの記念すべき最初の作品が遂に登場。


散歩をしていた途中、竹藪の中に見つけた不思議な空気を纏う寂れた洋館。

主人公の「私」、三津田信三はその洋館の雰囲気を気に入り、様々な過程を経て洋館に住むことになった。

その洋館には様々な謂れがあった。

海外から運び出したというこの洋館。

そこに住んだ者たちは次々に怪死するという過去があった。

洋館に住み始めた「私」に徐々におかしな出来事が起こり始めた……

この作品の構成はフィクション内の現実世界とフィクション内の小説世界が交互に織りなされており、どちらがどっちの世界なのか分からなくなっていく。

徐々にその世界は混濁としていき、そしてついに事件は起きる。

読んだ感想


まず初めに語り口調、文体が私の性に合っていたんですね。

それだけで読書っていうものは楽しくなってしまう。物語以前に読むこと自体が楽しくなってしまうんですよ。

舞台は刀城言耶シリーズのような寒村ではなく浅草やら武蔵野やらと決して都会ではないがかなりの田舎と云う訳でも無い良い塩梅の雰囲気漂う土地なので、読んでいて変な疲れもなく心地良いです。

なのに内容は気味の悪いホラーミステリー

このアンバランスがとてもいい。

最後の方は頭が混乱して訳が分からなくなっていきます。

その体感が快感だから私はおかしい。

こんな体験をしてみたい方は是非読んでみてください。

そして一番私が前のめりで読んだ箇所が、小説内で語られる江戸川乱歩論。

特に江戸川乱歩の「陰獣」について。

これがとても興味深いのでそこにも注目してほしいですね。

だから浅草なのですよ。ふふふ(笑)

是非読んでみてください!

最後に


ここまで読んでくださった方有難うございます。

今回は三津田信三さんの作品を紹介させていただきました。

この系統の作品は面白いですね。

京極夏彦横溝正史江戸川乱歩北森鴻

そこから鳥山石燕の画集を買ったり柳田国男の「遠野物語」を読んだりと……

皆さんも興味を持ったらすぐに関連書籍を読んでみましょう(笑)

それでは今回ここまで。

バイバイ(^.^)/~~~

忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)

忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)

 

不思議な青春ファンタジー「僕が七不思議になったわけ」をおすすめなのです!

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メディアワークス文庫より上梓されている小川晴央先生「僕が七不思議になったわけ」について今回は紹介します。

この作品は第二十回電撃小説大賞<金賞>を受賞しています。

毎回数多くの応募者がいる電撃大賞から選ばれた作品ですからね、作品の完成度は客観的に見ても素晴らしいものとなっているのではないでしょうか。

この作品を読んだのは随分と前のことなんですが、しかし今でもあの時の驚きや感動は鮮明に残っています。

あっと云わせる仕掛けが最後にあります。

一見気づきそうな仕掛けとも思うんですが、それはその仕掛けを知っている今だからこそ云えることで、知らずに読んでいた時は何の疑いもなく普通の青春小説だと思って読み進めていました。

潔くも、きれいに騙されました!

ミステリーなのか、はたや青春小説なのかファンタジーなのか。

詳しく紹介していきましょう!

「僕が七不思議になったわけ」

石橋を叩いても渡らない心配性の高校生・中崎夕也はある夜、七不思議を司る精霊・テンコと出会う。深夜の校庭に桜が舞い散る中、宙に浮かぶ袴姿の彼女は、高らかに不吉な言葉を彼に投げかけるのだった。「おめでとう、お主はこの学校の新しい七不思議に選ばれた」なんと彼は七不思議の引き継ぎに、仮登録されてしまったのだ!生きながらも七不思議の一つとなった少年の日々を綴った、思わずもう一度読み返したくなるミステリアス・ファンタジー。第20回電撃小説大賞金賞受賞作。


と云うのがあらすじ。

詳しい話をここで話してしまうとこの作品の面白さが半減してしまうのでストーリーに関しては割愛。

ネタバレにならない程度で簡単に説明してしまうと主人公の中崎夕也が七不思議の力を借りて事件の数々を解決していくお話。

と、当初私も思っていたのですが……

そんな感じです。

最後の最後でどんでん返し。

今迄思っていたことが次々に反転していきます。

伏線の張り方、伏線の回収の仕方はお見事の一言に尽きます。

ミステリアス・ファンタジー、まさにこの作品の相応しい総称ですね。

読んだ感想


先述しましたが私は当初この作品は主人公が七不思議の力を借りて事件を解決していく、そんな物語だと思っていました。

ですので、正直云ってしまうとなんというか「平凡だな」と云う感想を抱きました。

こういった何か特別な力やらユニークスキルやらで事件を解決する。

その事件にはいろんな人の様々な思いが交差していて……

こういう物語って多いじゃないですか。

否定しているわけじゃありません。

多くの人から支持されているからこういった物語が多く存在していることは自明ですから。

それにこういった作品が私自身嫌いなわけではなく、そしてこの作品の最初のほうのストーリーだって決して面白くなかったわけではありません。

むしろこういう親和性の高い小説は手元に置きたくなる作品です。


だけどやはり新鮮味には欠けてしまうんですよね。

だから率直にあんな感想が漏れてしまったのだと思います。

しかしそんな私の当初思っていたこの作品への評価は最後の最後でひっくり返りました。

前提がひっくり返ったというか、そのページ、文章を読んだ時はただただ呆気にとられてしまいました。

そして本当にそうなのか? とずっと前のページをさかのぼったりして……

最後に驚かされます。

そして同時に切なく、悲しいストーリーが待っているのです。

この作品の素晴らしいところは最後のどんでん返しと同時に切なすぎる青春物語を連続パンチでかましてくるところです。

驚けばいいのか、それとも泣けばいいのか。

しかし絶対に云えることはこの作品が自分の読書体験で忘れられない一冊になると云うこと。

是非読んでみてください。

最後に


ここまで読んでくれた方有難うございます。

日に日に更新頻度が低くなってきました。

まあ、気分で書いているので仕方ないのですが(笑)

それではここまで。

( ´Д`)ノ~バイバイ

アニメ絶賛放送中!最高のラノベ「エロマンガ先生」に対しての私の熱い思い

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エロマンガ先生について今回は紹介していこうと思いま……」

「そんな恥ずかしい名前の人、しらない!」

あぁ~、もうかわいいですよねぇ~、紗霧ちゃん!

私事ですが一時期、本当にもう一時期、妹キャラが出てくるラノベやらなんやらを片っ端から読んだり見たりしていましたねぇ~。

私には現実に妹がいるんですが、その妹がまあ本当に生意気な奴で(これ妹に万が一にも見つかったら殺されるな)その反動でフィクションの世界では理想を見たいと、そんな感じです。

まあ、それだけではないですが。

と云うかそんなのは微々たる理由で……

私はこの作品で救われたんですよ!

余談になりますがお付き合いを。

あれは高校一年生の頃でした(あっ、回想だ)

確固たる将来の夢のために高校に入学した私でしたが、早速そう云った専門的な授業を受けてみたら全然ついていけなくて……

憧れだけじゃ何もできないんだなあ~、と実感した時でしたな。

それで将来の夢も何もかもどうでもよくなっていました。

そんなとき何とはなしに本屋に赴いて本でも読んで気を紛らそうとしていた時に出会ったのが「エロマンガ先生

それまであまりアニメやらライトノベルはあまり見なかったり、読まなかったり。

気にはなっていたのですが……

それでタイトルの衝撃に興味もわいてきてそして購入!

家に帰ってさっそく読んでみたら「あぁ~、なんだよ、面白いじゃないか……。これがラブコメなのか! 感動しちゃった」

とか思ったり、思ったり、思っちゃったり思っていなかったり。

いや、思ったんですが。

それまでは読書って好きではなかったんですよね。

小学校・中学校の国語の授業がこれがどうにも面白いと思えなかった。

何でこんな面白くもない文章を読まなきゃいけないんだろうか。

とか、まあ、いろいろ。

だけど「エロマンガ先生」を読んで初めて気づかせていただきましたよ!

読書の面白さ! 読書ってこんなに楽しいものなんだ!

文体は国語の授業で読んでいた文学作品よりも全然読みやすいし、内容だってわかりやすくかつ共感もできる!

こんな感覚初めてでした!

あぁ~、今でのあの感動は昨日のように……

書店で「エロマンガ先生」を買うのはちょっと……

そんな方々がいるようですが私クラスになると「エロマンガ先生」への熱い思いが強すぎて、そんな含羞は屁のカッパ!

そこは堂々と「お願いします!」でキメ顔ですよ!

さあ、前口上が長くなってしまいましたが「エロマンガ先生」紹介していきましょう!

エロマンガ先生

高校生兼ラノベ作家の俺・和泉マサムネには、引きこもりの妹がいる。和泉紗霧。一年前に妹になったあいつは、まったく部屋から出てこない。今日も床をドンドンして、俺に食事を用意させやがる。こんな関係『兄妹』じゃないぜ。なんとか自発的に部屋から出てきてもらいたい。俺たちは二人きりの『家族』なんだから―。俺の相棒・担当イラストレーターの『エロマンガ先生』は、すっげーえろい絵を描く頼りになるヤツだ。会ったことないし、たぶんキモオタだろうけど、いつも感謝してる!…のだが、衝撃の事実が俺を襲う。『エロマンガ先生』は、俺の妹だった!?『俺の妹』コンビで贈る、新シリーズ!

 
とある出来事をきっかけに主人公の和泉 正宗(いずみ まさむな)は妹がちょーエロい絵を描く人気イラストレーター「エロマンガ先生」だと云うことに気付く!

久しぶりの妹との再会から様々な珍騒動が二人の前に巻き起こる!

兄としての想い。

妹としての想い。

そしてそれ以外の想い。

最高のラブコメディにして最高のライトノベル

エロマンガ先生」!

あぁ~、また読みたくなってきたあ~!

てか、もう少しで新刊も出るそうなので待ち遠しいですなぁ~。

はい、みなさん、読みましょう! 読みましょう!

読んだ感想


この作品ラブコメとして最高なのは当然ですが、私はその他にもお仕事小説と云うか、ラノベに対しての熱い情熱やら、そう云った部分に感動しました。

主人公の和泉 正宗、ペンネームは和泉マサムネなんですが、このマサムネのラノベにかける情熱が読んでいてとても輝いて見えました。

高校生でラノベ作家なんてそれでだけで天才のように映りますが、実際は「代わりなんかいっぱいいる、仕事を断るのは怖い」なんて思っていたり。

そんな性格からマサムネの執筆速度はすごく速く、それで企画書なんていっぱい出すんですが、結果はどれもこれもボツ。

理由は何なのか、それが一巻の一つポイントですね!

マサムネのラノベにかける熱い思いは伝わってくる。

けれどマサムネはそれだけじゃなくて年甲斐もなく大人っぽい性格なんですよね。

それは良い意味でも、悪い意味でも。

そんな性格は何が災いしているのか?

マサムネと妹の紗霧の両親は二人を残して亡くなってしまったんですね。

そして紗霧は引きこもっちゃうし、それでマサムネはそれまで以上にしっかりせねば、なんて思ってしまって……

読んでいてこの二人は私とあんま歳変わらないくせに色々考えていて本当にすごいなあ、と思いました。

妹の想いも読んでいて微笑ましいですね。

紗霧ちゃんマジ可愛い。

だからって紗霧ちゃんをどうにかなんて思いませんよ(いやフィクションだから!)

やっぱり紗霧ちゃんにはお兄ちゃんと結ばれてほしいですね。

と云うか、まさに今そこどうなるのっていう展開でして(8巻のお話)。

新刊が楽しみだなあ。

と云うことで「エロマンガ先生」でした!

最後に


今回の語り口調はすごくめちゃくちゃになっていると思います。

承知の上です。

申し訳ございません。

しかしそれほどこの作品に関しては熱い思いがあると云うことなので、ご理解をお願いします!

アニメも絶賛放送中ですので是非アニメもラノベもよろしくお願いします。

ここまで読んでくださった方有難うございました!


それではバイバイ(^_^)/~

村上春樹が講演会をしたと云うことなので「風の歌を聴け」を紹介してみる

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今回は村上春樹の処女作「風の歌を聴け」について紹介していこうかと思います。

と云ってもこの村上春樹の作品、どうにも内容が分からない。理解できない。

高校時代の国語の先生も「何を云っているのかちんぷんかんぷん」と云っていました。

しかし読んでしまう。

何か魅惑的な魔力かなんかが作用しているのでしょうか?

国語の先生も「結局好んで読んでしまう」と先程の発言の後に云っていましたし。

何だかよくわからない、しかし多くの人々から絶賛されている、そんな不思議な作家村上春樹の処女作「風の歌を聴け」、紹介していきましょう!

風の歌を聴け

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

 

村上春樹のデビュー作
1970年夏、あの日の風は、ものうく、ほろ苦く通りすぎていった。僕たちの夢は、もう戻りはしない――。群像新人賞を受賞したデビュー作

1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。


あらすじは私も何かよくわからないので上記を参考にしてください。

けれど私も最後まで読んだんですよ!

夏休みの頃です。熱中してすぐに読み終わったこの作品。

しかし不思議かな。この物語を語ろうとすると言葉に詰まっちゃうんですよね。

色々考えた結論、この作品は物語の面白さを伝えよう、と云う訳ではなくおそらくもっと身近な何かで、泥くさくてけれどかっこよくて……まあそんな感じです。

早い話、読んでください!

読んだ感想


親密性の高いどこか親しみを覚える、しかしやっぱりどこか浮世離れした登場人物たち。

主人公の「僕」の友人「鼠」、こいつは金持ちで一番浮世離れしている感じを抱きながらも、反して一番親しみを覚える人物でもあるんですよね。

何故だろう?

そこが村上春樹のすごさなのだろうか?

あんまり認めたくないけど(だってすごい売れっ子作家さんじゃないですか! ただの嫉妬ですよ!)

そして主人公の恋の相手、小指の無い女性。

この女性も不思議だなあ。

こんな女性絶対いないだろうけど、でもいたらいいなあ、なんて思っていたり思っていなかったり。

村上春樹作品の登場人物って正直云うとこんな人物いねぇーだろ! って思うことが多々ありますがしかしそれを何でか受け入れてそのまま最後まで読ませてしまうから、村上春樹はなんだかなあ~って思います。

どこか憧れのような感じなんですかねぇ。

だけどもう少しまともに生きたいと思うしなあ~。

うん、よくわからない。

そんなこんなで村上春樹風の歌を聴け」でした。

恐らくこの紹介で作品の内容が分かった人はほとんどいないと思いますので、そこはご自身の手で読んで感じてください!

最後に


ここまで読んでくださった方有難うございました!

それでは今回はここまで!

バイバイ(^_^)/~

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

 

馬鹿々々しくもド直球の熱い青春「鴨川ホルモー」の絶大エネルギー

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万城目学、この作家どうにも捉え所がなく、理解しにくい作品ばかりを描かれる。

――のはずだ。

そう、そのはずなのだ。

なのに何故だろう? なぜ私たちはこうも彼の作品を愛するのだろうか?

それはおそらく彼の作品から滲み出る、否、溢れんばかりのエネルギーに圧倒され、私たちはついつい彼の作品を愛せざるを得ないのだ。

読んでしまう。読んでしまうんだよなあ~。

処女作の「鴨川ホルモー」と云う題名からこの作家の捉えどころのなさ、おかしさ、莫迦にしている感じがひしひしと伝わってくる。

しかし本編を読んでみたら……

「おお! こんな素晴らしい小説が! なんという緻密で繊細な文章なんだ!」

と心変わりすることは一切としてない。

本編を読んだところでその馬鹿々々しさは払拭しようのないくらいに不動のものとなる。

内容もおかしさ100%である。

ホルモーとは何ぞや? 鬼を従えて戦う? お前何でちょんまげなんだよ!

読み進めていけばいくほどにパニックは大きくなる。

なのに面白い。

これはもう作者を疑うより前に自分を疑いますよ。

何で私はこの作品を読んでニヤニヤしてページを繰り、悲しくなってため息をつき、淋しくなってまたもため息をつき、そして可笑しくって嬉々となるのだろうか?

この作品には絶対に魔物が棲んでいるのだ。

いや違う。

そこには意地悪な神がいる。そして鬼がいる。

ここまで記事を読んで「こいつ何をぬかしとんの? 容量得んな? はっきりしゃべれや!」と思っている常識ある(おそらく平々凡々とした生活を何の反発もなく過ごしている方なのでしょう)方々もいるでしょう。

しかしこの作品はそんな常識では測れませんよ。

だからおかしいんです。

だから面白いんです。

この作品を読んで理解できない人もおられましょう。

しかしそれも仕様のないことです。

皆が皆、絶賛を巻き起こす作品はありませんからね。

けれど、そのうえで私はこの作品を紹介します。

この作品は娯楽小説界の天才が書いたのです。

と云うことでいつもの語り口調とは少々異なった文体でしゃべってしまいましたが、ご安心を! ここからはまじめに紹介していきます。

では、説明していきましょう!

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)

 

このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり。

 
と云うのがあらすじ。

まあ、これで内容を理解した人はそれこそ天才です。

二年の浪人生活を経てやっとのことで京大に入学できた主人公の安倍。

その安倍が春の葵祭で牛車引きのアルバイトをし、報酬をもらった後一人の帰国子女で同じ京大生の高村と出会う。

この高村が後のちょんまげ野郎である(と云ったところで何のことかさっぱりの方が大勢いることはお馬鹿な私でも察することができる。まあ本編を読めば分かるとしか云いようがない)

そんな高村と少々雑談をしていた時だ。

これが「ホルモー」とのファーストコンタクトであったことは後々に彼らが一番に理解し後悔する。

二人の男女がとあるサークルの新歓でビラを配りにきた。

そのサークル名が「京大青竜会

勧誘文句は「一緒にENJOYしませんか?」

如何にも胡散臭い。

しかし彼らは思い当たる何かがあったのか、それとも何か誘われるものがあったのか、「京大青竜会」の新歓コンパに向かうのだった。

そして彼らの逃れられない「ホルモー」の第一歩は踏み出された。

少しだけ皆さんの疑問を氷解していきましょう。と云っても一つしか答えませんが。

では一つだけ。

「ホルモー」とは? あの「ホルモン」との関係性が? について。


お答えします。

「ホルモン」とは一切関係ございません。

「ホルモー」とはこの現実世界とは異なった世界、異界の者「鬼」を操って相手側の「鬼」と戦わせて勝敗を競うと云うものです。

一人につき所持している「鬼」の数は百匹以上。

その「鬼」をすべて失った者は恥ずかしげもなく大声で、

「ホルモォォォォ――――!!!」

と叫ばなければいけない。

この叫びは逃れられない。我慢しようとそんなものは無駄に終わる。

叫ばざるを得ないのです。

もっと詳しく知りたい方は本編で確認してください。

(結局氷解とは何ぞ……?)

読んだ感想


「こうも愛おしい作品になろうとは」

読み終わった私がまず思ったことです。

読み始めた当初は「何だこの変てこなタイトルは! 何だこの馬鹿々々しい内容は!」こんな感じでした。

しかし読み終わったとき当初思っていたそんな感想は一瞬にして霧消してしまいました。

この作品はコメディとして最高の娯楽作品だと思います。しかし同時に最高の青春小説でもあるのです。

主人公が「京大青竜会」に居続ける理由は一目惚れした早良さんと一緒に居続けたいという純粋な気持ち。

そして他にも様々で且つ純粋な気持ちを思いはせる人物がたくさんいるのです。

ちょんまげ野郎の高村もなんだかんだ悩みに悩んで最初の方ではこいつ自殺とかしねぇだろうな? リストカットの痕があったら終わりだ、なんて思っていましたし。

その他にも早良さんと云う主人公が恋い焦がれる人物、こいつも最終的にやばい奴だったなあ。

そして楠木さん。この子が曲者です。最後の最後で彼女の気持ちを知ったときにはえも云われない感情に襲われました。


鴨川ホルモー」是非ご一読を!

最後に


恐らく今回の本紹介は駄文の駄文、めちゃくちゃになってしまっていると思います。

誠意をもって謝罪させていただきます。

しかしこれも仕方のないことなのです。

それほどにこの作品は説明しにくい。

本編を読まなければこの作品の良さと云うものはどうしたって感じられません。

ですから是非読んでみてください!

ここまで読んでくださった方有難うございました!

それでは( ´Д`)ノ~バイバイ

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)

 
鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

 

読書家じゃないあなたも!おすすめ青春ライトノベル【ラノベ5選】

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今回は一作品にとどまらずドドンッ、と5作品一気にご紹介していきます!
(本当は10作品のつもりが紹介文が予想以上に長くなってしまったのです)

紹介するカテゴリーは青春ライトノベル

普段読書をしない方でもとっつきやすく比較的途中であきらめず最後まで読めてしまうような作品をご紹介できればと思います。

選考理由は読みやすさはもちろん、内容の親密性などを自分なりに考えてみました。

ほぼメジャータイトルが勢ぞろいですがそこは「人気は正義、多くの人から読まれているものが面白くないはずがない!」と云うことで、ご理解をお願いします。

それでは紹介していきます! ※これはランキングではありません。

1「アオイハルノスベテ」

輪月高校に入学した生徒だけが発症する不思議な力―“シンドローム”。その力で横須賀浩人は、強制的に時間を巻き戻されてしまった。どうしてこんな状況になったのか、誰の力が原因なのかも分からない。残っていたのはかすかな記憶だけ。そんな中で浩人が掲げた目標は―白紙になった三年間を、最高の高校生活としてやり直すこと!?幼なじみやマニアックな友人、さらに近寄りがたい美少女との接触からすべてが始まる、オールデイズ青春グラフィティ!!  

 
クラス内カーストから派生する交友関係。

その関係にどこか息苦しさを感じながらも仕方ないと諦めて自分の立ち位置を気にしながら学校生活を送る。

そう云うのって実際には学校生活で無意識にそんな振舞いをしてしまうものですよね。

小説で改めてそれを言葉として咀嚼すると、ああそうだよな、と共感してしまう。

この小説はその青春小説特有の息苦しさや不安などを描きながらもそこに全く別の要素、ガジェットとして「特殊能力」と云うものを加えることによってただの青春物語からの飛躍を成功させています。

最近話題の「サクラダリセット」の様な世界観であり物語でもあるんですが、やはり全く同じと云う訳でもありません。

差別化するのであれば「サクラダリセット」は大人の介入がある作品。

対して「アオイハルノスベテ」は一貫して「学生たちの物語」なんです。

学生の中でしか能力は宿りませんし、そしてその能力に関する管理や指導もやはり生徒間で行われるわけです。

そのことによって普通の学生同士の交友関係を超えた何か異質な、全く別の交友関係、が出来上がってしまう。

今迄の青春小説とは少々変わった作品かもしれません。

それっぽく云うのであれば、既存の青春小説に全く異質な要素を加えることによって今迄に無い青春小説としての位置を獲得した。

と云う感じでしょうか。

と云っても甘酸っぱい恋愛もあるし、ドキドキの物語展開をみせますし、そんな肩に力を加える必要はありません。

と云うことで「アオイハルノスベテ」、是非読んでみてください。

2「下読み男子と投稿女子~優しい空が見た、内気な海の話。」

平凡な高校生の青は、実はラノベ新人賞の下読みのエキスパートだ。そんな彼は、ある日応募原稿の中に、同じクラスの氷ノ宮氷雪の作品を見つける。“氷の淑女”と呼ばれる孤高の少女が、フォント変えや顔文字だらけのラノベを書いて投稿している!?驚く青だが、その後ひょんなことから彼女の投稿作にアドバイスをすることに。評価シートに傷つく氷雪をあたたかく導き、世界観、キャラ設定、プロットと、順調に進んでいくが…。爽やかな青春創作ストーリー!

 
ラノベ創作を通して二人の関係が徐々に縮まっていくのは読んでいて微笑ましいですね。

青春時代に何か一つのことに熱中し、努力して、しかしだからと云って結果がついてくるわけではなくて……

そう云う経験ありますよね?

私はあります。だから少なくとも現実で成し遂げられなかったことを小説に登場するキャラクターたちには成功を収めてほしい。

いわゆる感情移入ですね。

だからこそ物語内で主人公たちが辛いときは読者である自分だって辛いし、主人公たちが笑顔の時は私だって笑顔になるのです。

いろんな苦難や葛藤、屈託を経て成功をを得るのです!

この作品はついつい登場人物たちを応援したくなる、そんな小説です!

度々作品内で小説のアイデア出しや構成の仕方、文章の表現などがライトな文章で分かりやすく書かれているので今迄思っていた小説創作の観念的な部分が刺激されるかもしれませんね。

小説家を目指している方にはほんの少し参考になったりする部分もあったりするかも。

こちらも是非読んでみてください!

3「いでおろーぐ!

「恋愛を放棄せよ!すべての恋愛感情は幻想である!」雪の降るクリスマス・イヴ、カップルだらけの渋谷。街の様子に僻易していた非リア充の高校生・高砂は、雑踏に向かってそんなとんでもない演説をする少女に出会った。彼女の正体は、同じクラスの目立たない少女、領家薫。演説に同調した高砂は「リア充爆発しろ!」との想いを胸に、彼女が議長を務める“反恋愛主義青年同盟部”の活動に参加する。やがて集まった仲間とともに『バレンタイン粉砕闘争』への工作を着々と進めるのだが―!?「我々は2月14日、バレンタイン・デーを、粉砕する!」


この作品を読んだ最初の感想は「いいアイデアを見つけおって。面白じゃないか!」でした。

いやあ、脱帽でした。

恋愛を放棄させるため、恋愛は幻想であると理解させるために「反恋愛主義青年同盟部」を結成していき、最終的にきたるバレンタインを撲滅するために同盟部は計画を企てる。

思いつきそうで思いつかないアイデアですね。

素晴らしい!

内容も期待通りのもの。

ブコメを否定しながら主人公にいつしか惹かれていくヒロインの領家 薫(りょうけ かおる)。

恋愛に屈するのか? それとも恋愛に抗い続けるのか?

主人公、ヒロイン以外も個性的なキャラクターがたくさん登場します。

男子生徒から女神と崇められる胸が大きな2年生、神明 茜(しんめい あかね)

第二美術部の部員。小柄で朴訥。しかし中身はレズビアン、西堀 優(にしぼり ゆう)

テニス部の王子様! しかしロリコン……っておい! 瀬ケ崎 渉(せがさき わたる)

そんな登場人物たちが織り成す反ラブコメ物語! おすすめです!

4「ゲーマーズ!

趣味はゲーム。それ以外には目立った特徴もなく、かといって平凡な日常を愛していたりもしない、真の意味でのモブキャラぼっち高校生、雨野景太。そんな彼が突然、生徒会でハーレムを宣言したり、ゲームであっても遊びではないMMO世界に閉じ込められたりするわけでもなかったのだが…。「…私に付き合って、ゲーム部に、入ってみない?」学園一の美少女でゲーム部の部長、天道花憐に声をかけられるという驚くほどのラブコメテンプレ展開に遭遇。ゲーム好きな美少女たちとのラブコメの始まりかと思いきや!?こじらせゲーマーたちによるすれ違い錯綜青春ラブコメスタート!

 
アニメ化決定! おめでとうございます!

と云う訳で「ゲーマーズ!」です。

この作品はもちろんラブコメするのですが、そんな、はい主人公とヒロインが付き合いました、めでたしめでたし、とはうまくいきません!

みんながみんな真剣に相手のことを考えるあまり、相手への想いを勘違いしたり、暴走したり、もう関係がこじれて、もつれて、どうなるんだー! って感じです。

どんだけすれ違うんだよ、こいつら!

錯綜ストーリーにもほどがあるぞ!

しかしそれが面白んだから、葵せきな先生はすごい!

ブコメだけでなくてゲームへの想い、考え方、そこにも注目してほしいですね。

いろんな考えがあっていろんな意見がある。それを一蹴する権利なんて誰にもない。

自分が本当に楽しいって思えるならそのスタンスは貫くべき、そんなことを語っていたり。

是非読んでみてください!

5「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

孤独に負けず。友達もなく、彼女もなく。青春を謳歌するクラスメイトを見れば「あいつらは嘘つきだ。欺瞞だ。爆発しろ」とつぶやき、将来の夢はと聞かれれば「働かないこと」とのたまう―そんなひねくれ高校生・八幡が生活指導の先生に連れてこられたのは、学校一の美少女・雪乃が所属する「奉仕部」。さえない俺がひょんなことから美少女と出会い…どう考えてもラブコメ展開!?と思いきや、雪乃と八幡の残念な性格がどうしてもそれを許さない!繰り広げられる間違いだらけの青春模様―俺の青春、どうしてこうなった。

 
これはもういわずもがなの有名作になってしまいましたね。

ラノベ界隈では知らない人はいないのではないでしょうか。

このライトノベルがすごい! 3年連続作品部門1位!

これは快挙でしたね。

内容は読んでいて決して快感を覚えるような内容ではありません。(いや、私なんかはこれが快感なんですが)

主人公が悪をやっつけてヒーローになる、みたいな。

そう云うのを真っ向から否定しているのがこの作品。

捻くれていたり、拗らせてしまっている中高生のみなさんには大好物ではないでしょうか。

それに内容もさることながらこの作品がそれ以上の栄誉を得ている一番の要因は矢張り「文章」でしょう。

読んでいてつっかえることも無くそれでいてただ軽いだけの文体じゃない。

読んだ感がある、とでも表現しましょうか。

そう云う感覚に襲われます。

本当に文章が素晴らしい。

何でこう軽快でありながらも重みを含ませられるような文章が書けるんだろうか。

すごいなあ。

と云うことで「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」読んでみてください!

最後に


どうですか読んでみたいと思った作品はありましたでしょうか?

もう読んでしまっているって方ももう一度読み返したらまた新たな発見があるかもしれません。

と云う訳で青春ライトノベル5作品の紹介でした!

ここまで読んでくださった方有難うございます。

それでは(@^^)/~~~

おすすめミステリー、メフィスト賞受賞作「冷たい校舎の時は止まる」

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辻村深月さんと云えば今やいわずもがなの有名作家さんです。

「ツナグ」では吉川英治新人賞を、「鍵のない夢を見る」では直木三十五賞を受賞されている実力派です。

ここ数年には本屋大賞のノミネートも度々されています。

今までの栄光、そしてまだまだこれからも期待されている辻村深月さん。

そんな辻村深月作品から今回紹介するのは辻村さんの処女作にしてメフィスト賞受賞作、

「冷たい校舎の時は止まる」です!

処女作だというのに文庫本にして上下巻。一巻、約600ページの大長編!

これは読むしかありません。

詳しく紹介していきます!

「冷たい校舎の時は止まる」

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

 
冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

 


ある雪が降る冬の日、受験を控えた高校生の彼ら彼女らは集まるべくして集まった。

その日は朝の通学路からおかしかった。

いつもこの時間帯は通学のために道路が学生でひしめき合っているはずなのに、今朝は彼ら以外誰もいなかった。

学校に行ってみるとそこには仲良し同士の8人の学生しか集まっていなかった。

他の教室を見てももぬけの殻。

授業を知らせるチャイムが鳴っても一向にほかの学生は来なかった。

異変に気付き始めた8人の学生は学校からの脱出を試みるもそれは無駄に終わった。

昇降口のドアを開けようにもドアノブ自体が回らない。

時計は何故か5時53分で止まっている。

学生たちは最初担任教師の榊のイタズラだと思っていた。

しかしその後尋常ではない出来事が次々と起こってそして8人はある仮説に行き着く。

忘れていた事実を思い出す。

文化祭最終日、同級生の誰かが屋上から投身自殺をした。

その自殺した人物がこの異様な空間を作ったのではないか?

凍り付く校舎の中、8人の学生は顔も名前も忘れてしまった同級生のことを思い出す。

そして一人一人と消えていく……

読んだ感想


定番のクローズドサークルもの! そして青春ミステリー!

これだけでワクワクしてしまいますね。

そんな今作、ページ数が多すぎて最初は途中で辟易としてしまうかとも思ったんですが、それは杞憂でしたね。

読み始めていつの間にかページを捲ればそのつぎのページも早く捲りたくなっているんです。

そして一気に読み終えてしまう。

物語の内容が一人一人の登場人物に各章丁寧に焦点を合わせて描いており、そのことによってストーリー自体もとても重厚的な作品となっている。

素晴らしい!

既存のクローズドサークルでは犯人を当てるのが普通なのですがこの作品はなんと、「死んだ人」を探すんですね。

文化祭の最終日、自殺した同級生。

この8人の中にその人物が?

突然回りだした時計。しかしそれには理由があって……

決まって時計の針が5時53分を指すと一人一人と消えていく。

消えていく人物が直前に見た犯人の顔。

そして思い出される自分の気持ち。

おすすめミステリー「冷たい校舎の時は止まる」でした!

最後に


ここまで読んでくださった方ありがとうございます!

それでは今回はここまでです。

( ´Д`)ノ~バイバイ 

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

 
冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)