おすすめSF作品!夭折の作家デビュー作「虐殺器官」で最高の読書体験を
若くしてこの世を去った夭折の作家、伊藤計劃。
今回は伊藤計劃の処女作にして最高傑作と呼び声高い作品「虐殺器官」について紹介していこうと思います。
文庫本の装丁からこの作品のただならぬ雰囲気が醸し出されています。
表紙の上方を「虐殺器官」と「伊藤計劃」がでドンッと占めており、背景は黒。
シンプルだからこそ、その情報量の少なさからあらゆることが想像可能であり、その潔さに圧倒されます。
本が持つ異様な空気をうまく表現しているんじゃないか、なんて思いました。
内容に関しても、この作品は素晴らしい。
様々な思想を、考えをこの一冊はSFの世界観だからこそ可能な例えや出来事でうまいこと語っている。
これはSF作品だからこその強みであり特徴ですね。
しかしこの作品はそう云ったSF作品だからこそ、と云う部分もさることながらそれ以外の、こと個人に関しての泥臭い思いや冷徹な感情などを異常な状況下と混合する事によって化学反応がおこる部分は素晴らしいの一点です。
こういうフィクションを読みたかったんだな、待ち望んでいたんだな、と思いました。
詳しく説明していきます。
「虐殺器官」
9.11以降の"テロの戦い"は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす"虐殺の器官"とは? ゼロ年代の最高のフィクション、ついに文庫化!
と云うのが文庫本裏表紙のあらすじ。
自分自身であらすじを書こうとも思ったのですがどうにも伝えたいことが多すぎて難しかったです(笑)
ここは書くべきなんだけどここを書いたらネタバレになるだろうし、しかしこのフレーズは自分の中で心に残っているから入れたいな、と思って続けていたら、だらだら、だらだらと延々に書き殴って、どんどん駄文になっていって、これはもう無理だな、と思いました。
今回は文庫本裏表紙のあらすじを拝借させていただきました。
それにしても「引用」は楽ですね(笑)
もうこれからあらすじを書くときは「引用」を多用していこうかしら。
と云う訳であらすじでした。
主人公、シェパードの心情の機微、シェペードと対の存在であるジョン・ポールの真の目的とは?
小説の大きな見どころはこの二点でしょうか。
それ以外にも多分の見どころがありますので気になった方は是非読んでみてください。
読んだ感想
この作品のテーマなるものを定義づけるのであれば私はこの単語を据えようと思います。
それが「言語」です。
この「言語」の力でジョン・ポールは人の心の深遠に眠るなにかを呼び起こそうとしている。
その結果が「テロル」「戦争」「虐殺」に繋がっているのだと思いました。
私も大学で様々な講義を受けているのですが、その講義を全般的に見て通底している話が「言語」についてなんですよね。
文学部の特にそう云った「言葉」についてなどを学ぶ学科に属していますのでもしかしたら当たり前かもですが、しかし私にとってはとても新鮮でしたね。
特に記憶に残っているのは「英語は共通語なのか否か?」と云うこと。
答えはありませんがおそらく多くの方は「英語は共通語」と思われている方が多いのではないでしょうか?
しかし決してそう一概には「英語は共通語」とは言えないのではないかと云うのが講義の内容の一部。
そもそも「英語は共通語」と云うイメージがここ日本では強い傾向があるんですよね。
けれど実際英語話者の人口を調査してみると多く見積もっても約7億人、少なく見積もったら約3億人。
思ったよりも少なくないですか?
約7億人と云うことは世界の人口が約70億人と云われているので……
なんだ、世界の1割しか話していねぇーじゃねーか!
はい、そうなんです。英語を話したところで世界の半分の人とも話せないんです。
と、余談が続いてしまいましたが、閑話休題。
結局云いたいことは「言語」って色々な可能性を秘めているんだよ、ってことです。
その「言語」で世界をどうにかしようとしたのが今作の黒幕ジョン・ポール。
そこに注目していただきたいですね。
いろんなことを考えさせられますよ。
そう云った読書体験がお好きな方にはお勧めかもです。
と云う訳で「虐殺器官」でした。
最後に
「言語」についてはいつかブログでも話せたらいいですね。
ノーム・チョムスキーやら井筒俊彦やらが好きなんですよ。
またそれ以外にも文学のお話、読書のお話もしていきます。
ここまで読んでくださった方、有難うございます!
それでは( ´Д`)ノ~バイバイ