「忌館 ホラー作家の棲む家」の世界はリアルかフィクションか
三津田信三さんの作品は面白いですよね。
ホラー作品は勿論、ミステリーもお手の物。
最終的にその二つを融合したホラーミステリーなんて代物を世に送り出し今でもその融合性を高めんと小説を出し続けています。
有名なのは刀城言耶シリーズ「厭魅の如き憑くもの」などの土着性の高いホラーミステリー。
横溝正史(「八つ墓村」など)に繋がる雰囲気を醸し出しながら、最近の作家で云えば京極夏彦の緻密性、同時に奇妙な物語。
民俗学やら日本神話についての蘊蓄をひけらかしながら構築していく世界観。
今回紹介する三津田信三さん処女作「忌館 ホラー作家の棲む家」に関しても似たような事を云えるかもしれません。
ミステリーやら建築学やら様々な蘊蓄をもってこの摩訶不思議な世界観をゆっくりと確実に構築していく。
最終的にその世界観は現実に実際起こりえた出来事なのか、それとも完全なフィクションなのか、どっちともつかない気味の悪い、そして最高の感覚を体験することになります。
詳しく紹介していきたいと思います。
「忌館 ホラー作家の棲む家」
奇妙な原稿が、ある新人賞に投稿された。“私”は友人から応募者の名が「三津田信三」だと知らされるが、身に覚えがない。そのころ偶然に探しあてた洋館を舞台に、“私”は怪奇小説を書きはじめるのだが…。本格ミステリーとホラーが見事に融合する三津田信三ワールドの記念すべき最初の作品が遂に登場。
散歩をしていた途中、竹藪の中に見つけた不思議な空気を纏う寂れた洋館。
主人公の「私」、三津田信三はその洋館の雰囲気を気に入り、様々な過程を経て洋館に住むことになった。
その洋館には様々な謂れがあった。
海外から運び出したというこの洋館。
そこに住んだ者たちは次々に怪死するという過去があった。
洋館に住み始めた「私」に徐々におかしな出来事が起こり始めた……
この作品の構成はフィクション内の現実世界とフィクション内の小説世界が交互に織りなされており、どちらがどっちの世界なのか分からなくなっていく。
徐々にその世界は混濁としていき、そしてついに事件は起きる。
読んだ感想
まず初めに語り口調、文体が私の性に合っていたんですね。
それだけで読書っていうものは楽しくなってしまう。物語以前に読むこと自体が楽しくなってしまうんですよ。
舞台は刀城言耶シリーズのような寒村ではなく浅草やら武蔵野やらと決して都会ではないがかなりの田舎と云う訳でも無い良い塩梅の雰囲気漂う土地なので、読んでいて変な疲れもなく心地良いです。
なのに内容は気味の悪いホラーミステリー。
このアンバランスがとてもいい。
最後の方は頭が混乱して訳が分からなくなっていきます。
その体感が快感だから私はおかしい。
こんな体験をしてみたい方は是非読んでみてください。
そして一番私が前のめりで読んだ箇所が、小説内で語られる江戸川乱歩論。
特に江戸川乱歩の「陰獣」について。
これがとても興味深いのでそこにも注目してほしいですね。
だから浅草なのですよ。ふふふ(笑)
是非読んでみてください!
最後に
ここまで読んでくださった方有難うございます。
今回は三津田信三さんの作品を紹介させていただきました。
この系統の作品は面白いですね。
京極夏彦、横溝正史、江戸川乱歩、北森鴻。
そこから鳥山石燕の画集を買ったり柳田国男の「遠野物語」を読んだりと……
皆さんも興味を持ったらすぐに関連書籍を読んでみましょう(笑)
それでは今回ここまで。
バイバイ(^.^)/~~~