かぴばら先生は語る

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本格ミステリーの復活「占星術殺人事件」を読まずしてミステリーは語れない

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今や推理小説として圧倒的な市民権を得た新本格もちょっと昔まではこういった推理小説は認められていなかったんですね。

新本格の推理作家さんで有名なのは綾辻行人さん、有栖川有栖さん、法月倫太郎さん、歌野晶午さん、京極夏彦さん、我孫子武丸さん、森博嗣、et cetera…

Wikipediaを参考にすれば「新本格」と云う言葉が使われたのが綾辻行人さんの二作目「水車館の殺人」の帯から使われ始めたらしいです。その後次第に東京創元社などの他社からデビューした作家さんにも使用されるようになって、ジャンルとして定着したようです。

しかし私はおそらくこの人がいなかったら「新本格」と云うジャンルは誕生しなかったのだと思います。

その方が島田壮司さん。

松本清張の影響もあって推理小説は社会派が中心と云ったミステリー界で突如として現れたのが島田壮司さんの「占星術殺人事件

けれど当時この作品が上梓してもあまり話題にはならなかったそうです。

矢張り社会派推理小説の影響力が強く受け入れられなかったのでしょうか。

しかしその後も別作品として社会派推理小説の吉敷竹史シリーズを書きながら本格推理の御手洗潔シリーズも書き続け現在ではミステリー界の重鎮です。

今回紹介する「占星術殺人事件」は江戸川乱歩賞の最終選考まで残った作品だそうです。

内容に関しては受賞してもおかしくないのですが。

何と云ってもこのトリックがすごい。

単純なようでわからない。

詳しく紹介していきます。

占星術殺人事件

密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。その後、彼の六人の娘たちが行方不明となり、一部を切り取られた惨殺遺体となって発見された。事件から四十数年、迷宮入りした猟奇殺人のトリックとは!?名探偵御手洗潔を生んだ衝撃作の完全版登場!


この推理小説では現在進行形で登場人物が事件に巻き込まれて事件を解決していく、と云うものではなく約四十年前の未解決事件に名探偵の御手洗潔が立ち向かう、と云った感じ。

最初は「AZOTH」と云う私自身のために描かれた小説と云う文句で進んでいく謎の文章が羅列していく。

梅沢平吉なる画家の遺書と云うこと。

内容は「占星術」に関してのことが滔々と語られておりここで辟易としてしまう読者の方は多いかもしれません。

しかしこの約四、五十ページを読めばその先にはやっと主要メンバーの御手洗潔と石岡和己の登場です。

ここからは最後まですぐに読めてしまうのではないでしょうか。

信じられないほどに読み易く感じます。

舞台は東京から京都に行ったりといい塩梅で環境変化もあって飽きる事をさせません。

そしてなんといっても最後の最後で明かされる事件の真相はミステリーの読書体験で一生忘れる事が出来ない痺れるものとなっております。

読んだ感想


画家の梅沢平吉が自宅のアトリエで密室状態で殺害されていた。

事件のあった日は雪が降っていた。

この密室殺人では雪の上の足跡がポイントになります。

まず初めにこの事件のトリックが明かされ物語が始まって早々に一つの解決で勢いがつきました。

しかしその次が難題です。

その密室殺人が起きたその後6人の姉妹が頭、肩、胸、腰、大腿部、下足部が切り取られた状態の死体が発見された。

この奇怪な事件が今回の「占星術殺人事件」の大きな謎の一つ。

この事件のトリックが最後のカタストロフィを素晴らしいものに仕上げています。

詳しくは語れませんがこれを読まずしてミステリーは語れないと云っても過言ではないので是非ご一読をお勧めします。

最後に


今回は本格ミステリー作品を紹介させていただきました。

今や重鎮となられた島田壮司さんの作品はその他も面白いので是非是非調べてみてください。

それでは今回はここらへんで。

( ´Д`)ノ~バイバイ