かぴばら先生は語る

かぴばら先生は語る

小説、アニメ、マンガ、文学からエンタメまで色々と話せたらと思い、ブログを開設。興味のある方はぜひご覧になってください。

【純文学】中高生に読んでほしい! おすすめ日本近代文学作品! 5選【読みやすい】

f:id:kapibarasensei:20200425163605p:plain
高校から読書の面白さに目覚めた。

未だにもっと前から本の魅力に気づけたらと思っている。

そんな後悔を現役中高生には味わってほしくない!

中学生の頃は国語の時間があまり面白くなかった。

読んでいる作品がエンタメではなく、堅苦しい文学作品ばかりで退屈だった記憶がある。

ここでエンタメ小説をおすすめするのも一つの手だが、それでは根本の苦手意識は消えないのではないか?

一番の理想は国語の時間や現代文、果ては古文や漢文の授業も面白くなれたらと思い、今回、個人的に読みやすい日本の近代文学をおすすめしようと思う。

では、どうぞ。

1.夏目漱石三四郎

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

 

熊本の高等学校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎は、見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で、自由気侭な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく…。青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて「それから」「門」に続く三部作の序曲をなす作品である。

 夏目漱石の作品と言えば何を思い浮かべるだろうか?

こゝろ』? 『吾輩は猫である』? 『坊っちゃん』?

高校生ならば絶対に読むであろう『こゝろ』は確かに面白い。

それに高校の教科書には残念なことに『こゝろ』の一部分しか掲載されておらず、あの作品は3章すべてを通して初めて最後のKの自殺や、それに対する先生の思いが色々と想像できるのである。

確かに『こゝろ』は名作だが、しかし忘れてはいけない、この作品を!

個人的には漱石作品の中で一番好きなのがこの『三四郎』である。

夏目漱石? 何だか堅そうだな、と思うかもしれないが少し待ったほしい。

そもそも夏目漱石は少し前までは純粋な文学というより、大衆小説、つまりエンタメの作家として有名だったのだ。

その地位を押し上げたのが江藤淳という批評家なのだが、それは今関係ない。

そう、夏目漱石の作品は文学でありながらエンタメさながらに面白い!

三四郎』は熊本から上京してきた大学生の青春小説である。

田舎とは全然違う都会の様相に驚きながらも慣れていき、友人の紹介でなんだかすごいらしい先輩やなんだかすごいらしい先生に出会って青春を謳歌していく。

そこでは淡い恋愛も経験する。

都会の女、不思議な女性、里見美禰子。

これは小川三四郎が初恋から失恋に至るまでの青春を駆け抜けた作品である。

少し大人になったら同じ漱石作品の『それから』もおすすめ。

それから (新潮文庫)

それから (新潮文庫)

 

2.島崎藤村『破戒』

破戒 (新潮文庫)

破戒 (新潮文庫)

 

明治後期、部落出身の教員瀬川丑松は父親から身分を隠せと堅く戒められていたにもかかわらず、同じ宿命を持つ解放運動家、猪子蓮太郎の壮烈な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまう。その結果偽善にみちた社会は丑松を追放し、彼はテキサスをさして旅立つ。激しい正義感をもって社会問題に対処し、目ざめたものの内面的相剋を描いて近代日本文学の頂点をなす傑作である。

 明治40年自然主義小説の始まりとしてこの作品は語られる。

フランスの自然主義エミール・ゾラなどの影響を受けて、それを日本文学に落とし込んだのが島崎藤村であり、この『破戒」なのである。

自然主義? なんだかなぁ~、と思うだろうか?

よく自然主義私小説を同一視して考える人がいる。

確かに、ある部分では同じなのだが、ある部分では全然違うモノである。

私小説と聞くと、淡々とした語り口調でただの日常を描いたつまらない、退屈な印象を受ける人が大概だろう。

だからこそ、同じ様に見られる自然主義小説も退屈な印象を持たれてしまう。

しかし、その思いをいったん取り除いて読んでほしい!

この作品が思った以上にエンタメ的に面白いことに驚いてほしい!

自然主義と、何だか堅そうに聞こえるが、実際内容は様々な出来事を通じて主人公、丑松の成長を追っていく、実にワクワクする展開が目白押しである。

父の戒め。

陰ながら尊敬する解放運動家。

同僚たちとの関係。

そこにはすべて身分差別の弊害が通底している。

父の戒めはこの身分を隠すこと。そうして父は山奥でひっそりと死んでいった。

尊敬している解放運動家、猪子蓮太郎、父とは逆に壮絶な死を遂げた。

同じ身分でありながらそれぞれの意志をもって生き方を選んでいる。

それぞれの出来事を経て、はたして丑松はどのような結末に辿り着くのか!

3.志賀直哉『城の崎にて』

城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)

城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)

 

秤屋ではたらく小僧の仙吉は、番頭たちの噂話を聞いて、屋台の鮨屋にむかったもののお金が足りず、お鮨は食べられなかった上に恥をかく。ところが数日後。仙吉のお店にやってきた紳士が、お鮨をたらふくご馳走してくれたのだった!はたしてこの紳士の正体は…?小僧の体験をユーモアたっぷりに描く「小僧の神様」、作者自身の経験をもとに綴られた「城の崎にて」など、作者のもっとも実り多き時期に描かれた充実の作品集。

 今回紹介する作品の中でも読みやすいという観点から見れば、一番読みやすい作品かもしれない。まぁ、最終的に人それぞれだけどね。

しかし、文章に関しては本当に巧い。

学習院の学生を中心に結成された白樺派の一員である志賀直哉

白樺派は行ってしまえば金持ちのお坊ちゃま連中の集まりである。

だから書く作品にもその気風が影響している。

どこか余裕というか、一種、開放的な感覚がある。

この『城の崎にて』も怪我の療養のために訪れた兵庫県城崎温泉での体験を綴った作品で、この設定からもスゴイ余裕のある空気が感じられる。

旅行の空き時間や自宅で旅する気持ちを味わいたい時に読む一冊としておすすめだ。

『城の崎にて』以外にも同収録の『小僧の神様』などもおすすめ。

4.横光利一『家族会議』

家族会議 (講談社文芸文庫)

家族会議 (講談社文芸文庫)

 

東京の兜町で株式売買をする重住高之は、大阪の北浜の株のやり手仁礼文七の娘泰子に心惹かれている。だが、―文七はあくまで高之に熾烈な仕手戦をしかけて止まない。金の絡みと高揚する恋愛の最中、悲劇は連続して起こる。資本が人を動かし個人が脅かされる現代に人間の危機を見、「純粋小説論」を提唱実践した横光利一が、その人間崩壊を東と西の両家の息づまる対立を軸に描いた家庭小説の傑作。

 家族会議? と聞いてホームドラマでも始まるのかと思うだろうが、これが半沢直樹顔負けのビジネスバトルが繰り広げられる作品なのだ!

この作品で主に行われるバトルが株式売買。

株を売るか買うかのタイミングで多大な資本が動く世界。

お金という唯一無二の正義を中心に絡んでいく家族の友情や想い人との恋愛などの人間関係。

最後には思いもよらない衝撃の結末が待っている!

文学版、池井戸潤作品と言っても過言ではない。

経済や企業小説など好きな人におすすめの文学作品。

この作品も文学としてだけでなく勿論エンタメとしても面白い!

5.芥川龍之介『河童』

河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

 

芥川最晩年の諸作は死を覚悟し、予感しつつ書かれた病的な精神の風景画であり、芸術的完成への欲求と人を戦慄させる鬼気が漲っている。
出産、恋愛、芸術、宗教など、自らの最も痛切な問題を珍しく饒舌に語る「河童」、自己の生涯の事件と心情を印象的に綴る「或阿呆の一生」、人生の暗澹さを描いて憂鬱な気魄に満ちた「玄鶴山房」、激しい強迫観念と神経の戦慄に満ちた「歯車」など6編。
或阿呆の一生」と「歯車」は死後の発表となった。

 僕は驚いてふり返りました。すると、――僕が河童と云うものを見たのは実にこの時が始めてだったのです。僕の後ろにある岩の上には画にある通りの河童が一匹、片手は白樺の幹を抱え、片手は目の上にかざしたなり、珍らしそうに僕を見おろしていました。
僕は呆っ気にとられたまま、暫くは身動きもしずにいました。河童もやはり驚いたと見え、目の上の手さえ動かしません。

 ある精神病院の患者が誰にでも話す不思議な話。

という、前提からこの物語は始まる。

男があるとき河童に出会い、河童の集落で暮らす。

そこには人間となんら変わらない思考力を持った個性あふれる河童たちがいた。

しかしそこで暮らしていくにつれてだんだんと河童の世界が人間とは真逆だという事に気付いていく。

出産するときは胎の中から赤ちゃんに生まれたいかどうかを聞いて、生まれたくなければ即座に中絶させてしまう。それが合法なのである。

様々な河童と触れ合っていく内に男は……

その結末は実際にその目で読むことをおすすめする。

最後に

今回はベターな文学作品や少しマイナーな作品まで紹介してみた。

太宰や三島、それ以外には安部公房など面白い作家、面白い作品はまだまだあるが、今回は文学の面白さをまだ知らない中高生に向けての紹介という事で、このようなラインナップにしてみた次第だ。

今後また文学作品の紹介をするかもしれないので太宰などはその時まで取っておくことにする。

それでは最後に、今回の紹介で少しでも日本文学に興味を抱いてくれれば嬉しい限り。

では、この辺で。