村上龍、衝撃のデビュー作「限りなく透明に近いブルー」は淡く、冷徹
村上春樹と村上龍でダブル村上なんて呼ばれている二人。
しかし作風は決して似ていると云う訳ではありません。
全く別の切り口から純文学を描く。
殊に村上龍処女作の「限りなく透明に近いブルー」はそれが顕著です。
そしてこの作品の読書体験は同時に衝撃です。
今でも読んで衝撃ですが、当時の文壇、なんて想像すると色々な意味で荒れていたのではないでしょうか。
群像新人文学賞、芥川賞受賞のこの作品。
処女作で芥川賞を受賞してしまうんですね。
最近では又吉直樹さん「火花」が小説としては処女作で芥川賞を受賞で大きな話題を呼びましたが、普通に考えるととんでもないことですよね。
そんな又吉さんは二作目に「劇場」が単行本で発売予定で私は今からワクワクしています。(新潮には掲載されています)
単行本・文庫本の発行部数は芥川賞受賞作ではトップ。
表現などがとてもユニークと云うか前衛的なんですね。
良く比べられるのが石原慎太郎の「太陽の季節」
荒廃的な男女の物語と云う点で類似点が多いのでしょうか。
詳しく紹介していきます。
「限りなく透明に近いブルー」
福生の米軍基地に近い原色の街。いわゆるハウスを舞台に、日常的にくり返される麻薬とセックスの宴。陶酔を求めてうごめく若者、黒人、女たちの、もろくて哀しいきずな。スキャンダラスにみえる青春の、奥にひそむ深い亀裂を醒めた感性と詩的イメージとでみごとに描く鮮烈な文学。群像新人賞、芥川賞受賞。
麻薬とセックスに明け暮れる毎日を主人公の客観的で冷徹、一見して淡白な文体だがそれを自然に受け入れさせるのだからこの作品の評価されるのが分かる。
この作品には多くのセックスシーンが描写される。
直接的な描写なんて数えたらきりがない。
なのにどうしてここまで「清潔感」がある。
やはりこの平易な文体で暴力的な内容が読んでいて素晴らしい。
読んだ感想
読めば分かる、としか云えないのがこの作品の紹介しづらい点。
必要な文章しかなく、逆説的にそれをコンパクトに要約しようものならこの作品の良さは一掃されてしまう。
そう云った作品だ。
それでもどうにかこの作品の良さを伝えるのであればやはり何度も云うようだが、この作品の文体に高い評価がある。
平易な文章にここまで書いていいのか? と云うほどに暴力的で問題のある内容。それを赤裸々に告白している。
一見アンバランスの様に見えるそれをこれしかない! と云う最高のバランス感覚で描き切った。
今思い起こしてみるとこの作品はどことなくカフカの「変身」を彷彿とさせます。
ただ事実しか語らない。そこから見える自分だけの真実。
どんな観点から見ても不思議で、そしてどうしようもなく惹かれる。
「限りなく透明に近いブルー」是非読んでみてください。
最後に
更新頻度が低くなっていく一方ですね。
頑張って書いていきたいと思います。
今回はここまで。
( ´Д`)ノ~バイバイ