『千歳くんはラムネ瓶のなか』を読んで【おすすめライトノベル】
表紙を見て、そして裏表紙のあらすじを読んで面白そうだなと買ったはいいものの、そのまま埃をかぶったラノベを先日、ただ何となく、大それた契機もなく読んだら意外にも面白かったので紹介しようと思いました。
『千歳くんはラムネ瓶のなか』
という作品です。
読んだ感想
リア充が主人公の物語。
だからと言って恐らくみんなが思っている偏見にまみれたリア充像がこの作品では描かれてはいません。
今までの偏見を払拭させてくれるリア充の概念がそこにはあると思います。
学園物には学生間のカーストが決まって取りざたされます。
この暗黙のカースト制度とどうやって付き合っていくか、もしくはぶっ壊していくのか、そこに注視していく作品はあれど、この物語はそんなもの鼻からどうでもいいと、そんなものに縛られて、そんなものを意識していて学校生活楽しいか? とそこには本物のリア充たちが描かれていたのです。
リア充たちが非リア充たちを嘲笑っている、見下している、そうやってリア充は非リア充を理解しないと。
しかし裏を返せばそれは非リア充こそリア充を理解していない逆説でもある。
人と付き合っていく上で何と言うか為になった作品でした。
人間関係って難しい、って思うけど案外自分のやるべき努力が不足しているだけなのかも。
またこの作品のお気に入りポイントは登場人物の台詞の言い回しやウィットに包んだ冗談のレベルが中々に高いところです。
最後の作者のあとがきにあったのですが作者はもともと純文学や一般文芸を主に読んでいた方だったそうで、それが伺える心地の良い言い回しがこの作品には散在しています。
そういうところが読んでいて小気味がいいというか、読み手としてストーリーとは別に快感ポイントでした。
また作中、私の好きな作品ウィリアム・アイリッシュの『幻の女』が登場したことも個人的に嬉しいポイント!
全体的にまとまりがよく、テンポもだれることがなく、すらすらと読めて、しかし物語の重厚感も学園青春ラノベとして中々のものだったと思います。
よろしかったらということで皆さんにおすすめのラノベでした。
二、三巻も随時刊行中らしいので続けて読んでみようと思います。
それでは今回はここらへんで。