第20回電撃小説大賞<大賞>受賞作、おすすめ王道ファンタジー「ゼロから始める魔法の書」
現在アニメも絶賛放送中の「ゼロから始める魔法の書」
略して「ゼロの書」!
この作品は第20回電撃小説大賞<大賞>を受賞しているライトノベルなんですね。
傾向的に云えば大賞作品になると今まで考えそうで考えなかった新鮮味のあるキャラクターや世界観、最後は驚愕!? どんでん返しのラスト! と云った凡庸でない一風変わった作品が毎年現れるのですが、この作品は違いました。
悪く云えば既視感のある、とも云えるんですが、やはりそんな一言では片付けられない作品です。
悪く云えばと云いましたが正直云って悪く云える作品じゃありません。
いっそのこと清々しい程に潔い王道ファンタジーです。
魔術のある世界。魔法のある世界。魔女を憎む市民。その裏で暗躍する国家魔術師。
などなど、et cetera
細かく作り上げられた世界観にその世界に息づく個性豊かなキャラクター。
詳しく説明していきましょう!
「ゼロから始める魔法の書」
教会歴526年―。世界には魔女がいて『魔術』が存在していた。そして、世界はまだ『魔法』を知らなかった。そんな時代、人々に“獣堕ち”と蔑まれる半人半獣の傭兵がいた。日々、人間になることを夢見る彼だったが、その数奇な運命を一人の魔女が一変させる。「―戻りたいのか?人間に。ならば傭兵、我輩の護衛になってくれ」ゼロと名乗る魔女は、使い方しだいでは世界を滅ぼしかねない魔法書“ゼロの書”を何者かに盗まれ、それを探す旅の途中だという。傭兵は、人間の姿にしてもらうことを条件に、大ッ嫌いな魔女の護衛を引き受けるのだが、禁断の魔法書をめぐって人々の思惑が絡み合い…。第20回電撃小説大賞・大賞受賞作!
『魔術』とは魔法陣と呪文、生贄を使って悪魔を召喚する学問。
魔術を使う魔女が存在する世界。魔女と人間は折り合いをつけ豊かに暮らしていた。
ソーレナと云う魔女がいた。この魔女は村に病が流行れば薬を提供するなど人間に対して良心的な魔女だった。
しかしあるとき村の疫病を魔術で治めたところを魔術で疫病を流行らせた村人たちに勘違いをされた。村人は憤りを覚えてソーレナが暮らす森を焼き、最後にはソーレナを火刑に処した。
それを狼煙に王国での魔女の反乱が頻発する。
人間の子から獣の子供が生まれた。所謂”獣落ち”と呼ばれる。
生まれながらにして獣の身体を持った獣落ちの「傭兵」
傭兵は魔女討伐の任を受けるため急いでいた傭兵は運悪く、その道中で魔術師と出会い奇襲を食らう。
魔術師は獣落ちの首を欲している。獣落ちの首は魔術の儀式の生贄として使われるのだ。
魔術師の攻撃から逃げる傭兵。
魔術師の攻撃はおかしかった。基本魔術は先述の通り魔法陣と呪文と生贄を用いて悪魔を召喚するものだ。
しかし攻撃を行う魔術師はそんなものを用いずに魔術を繰り出している。
そこで傭兵は初めて『魔法』と云う技術と出会うことになる。
『魔法』とは悪魔の契約法則の略。魔術を行使する際に儀式をせずに且つ悪魔を呼び出さずに魔術を使うと云う技術であり。熟達すれば詠唱なしに魔術を使うことも可能である。
その魔術師は魔法を使って攻撃をしてきていた。
その最中に出会うのがゼロと云う名の魔女であり、そんな危機的状況を救ってくれたのも彼女である。
そして傭兵は知る。何者かに盗まれた「ゼロの書」と云う魔法の原典を。
読んだ感想
どっぷり世界観に没入できるライトノベルっていうのも珍しいものです。
ラノベと云えば軽快な文章にシンプルで面白いストーリーが基本だと思っていましたがこんなに重厚的で真正面から王道ファンタジーを書くラノベ作家さんがいるとは御見それしました、と云う感じです。
この世界では魔女は憎まれ、恨まれる存在です。
そんな魔女認識から生まれたのが王国内で乱発する魔術師たちによる反乱。
この物語での核となるメインストーリーが魔女VS人間と云った対立。
そしてもう一つ魔女の様に差別されるのが獣落ちです。
獣落ちの主人公、傭兵はどの町に行っても煙たがられる存在です。
また、獣落ちの首は悪魔を呼ぶ際に重宝されるので魔術師たちに狙われる事もしばしば。なので傭兵はどれもこれもすべて魔女の所為だと思っているのです。
こう云う差別認識って現代社会でも形や概念は違えども同じようなことは起こっています。だからなのか色々考えさせられますねぇ。
この傭兵は他の獣落ちとは違って人間の奴隷を連れたり街で悪さをしている訳でもないのですが市民にとっては変わらない獣落ち。この理不尽さには、ほんとなんだかなぁ、と云った感じで、何なんだこのモヤモヤは! と読みながら苦しめられました。
特に傭兵を店に泊めてくれる親切な少女が実は内心では傭兵を利用して店で乱暴する獣落ちを追っ払ってもらおうと画策していたシーンなんかは、何でそんなこと考えちゃうんだよ! 正直に本当の事を云えば傭兵だって手助けしてくれるだろうに、などなど思う節はいっぱいありました。
補足としてその少女は母を獣落ちに殺された過去を持っていたので一概に少女だけが浅ましく不純だったとは云い難いですけどね。
なんかこういう誰々が一概にすべて悪い訳じゃないけどそれって結局悪いことだよね、ってこと現実でも往々にある気がします。
そう考えるとこの作品ってただのファンタジーよりかは結構現実に寄り添っているんじゃないのかな、なんて考えます。
様々な人物の色々な思惑が交差し差別を生み、戦争の引き金を引き、地獄のような凄惨な出来事が起きる。
もしかしたらこの小説は節々に現実の鏡として機能し、物語が進行しているのではないだろうか?
もしかしたらそうかもしれません。
どちらにせよこの作品から皆さんが少しでも何か感ぜられたならばいいなと思います。
最後に
「ゼロの書」は絶賛アニメ放送中なのでぜひこちらも要チェックです。
アニメも終盤ですのでお見逃さずに!
それでは今回はここまで!
バイバイ( ´Д`)ノ~バイバイ