かぴばら先生は語る

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毎日を本とのおしゃべりで費やしておりますわたくしが今迄の読書体験で「これはイイ!」と感じた作品を紹介していきます。

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テレビドラマ放送中!「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の雰囲気は至高である

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櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の作者は太田紫織さんと云う方で子供のころからコナン・ドイルやアガサ・クリ
スティの作品を愛読していたようです。

なるほど、確かにこの作品「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の推理構造は所謂、名探偵が推理を展開して解決するという推理小説の定番の筋道であり王道です。

その名探偵が今作の表題にもある九条 櫻子(くじょう さくらこ)と云う女性。

得てして名探偵とは変人であるというのが推理小説の常識とまでは云いませんが、広く浸透している認識の一つであります。

この櫻子さんと云う女性も相当の変人です。

職業からして特殊です。

日本でも稀有な職業、骨格標本士なる資格を有しているそうです。

では何故そんな特殊な仕事についているのか。

それは彼女の性癖と云うか趣味と云うかあるものに対してとても強い執着が関わっているのです。

それが「骨」です。

動物が腐敗し皮膚から露出した白い骨。

櫻子さん曰く骨は雄弁と云うことです。

骨はその人物がどの様な生活環境でどの時代の人物であったのかなどを語りかけてくるらしい。

この作品はそんな「骨」が事件のキーとなるガジェット的存在です。

至る所に死んで尚現世に生き続ける空気、その根源的原因こそが「骨」であり逆説的に「骨」こそが一番に死への誘いのしるしであるのです。

今回は一巻のお話を紹介していきたいと思います。

詳しく説明します。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている

北海道、旭川。平凡な高校生の僕は、レトロなお屋敷に住む美人なお嬢様、櫻子さんと知り合いだ。けれど彼女には、理解出来ない嗜好がある。なんと彼女は「三度の飯より骨が好き」。骨を組み立てる標本士である一方、彼女は殺人事件の謎を解く、検死官の役をもこなす。そこに「死」がある限り、謎を解かずにいられない。そして僕は、今日も彼女に振り回されて…。エンタメ界期待の新人が放つ、最強キャラ×ライトミステリ。


平静で淡白で真っ白なプロローグから始まり、そして最初の物語、第一話(第一骨)「美しい人」に続く。

語り部である館脇 正太郎(たてわき しょうたろう)の母親が所有しているアパートの住人清美と連絡がつかなく清美の妹、好美は心配で櫻子さん、正太郎、母を同伴してアパートに向かった。

部屋の中は散々な有り様だった。家具などは倒されて酷く荒れていた。

そして寝室には息を引き取った清美が横たわっていた。

窓は施錠されドアにはチェーンが掛けられていた。所謂、密室である。

彼女はだれかに殺されたのか? ならば密室の謎は?

第二話(第二骨)は「頭」と云うお話。

正しく人の頭の骨を見つけたことによって物語は展開していきます。

人骨を見つけたことで正太郎は警察に通報。ほどなくして警察官が一人到着しましたが、その警察官の話から近くで心中遺体が見つかったと云う事を聞く。

櫻子さんの要望でその現場に向かった彼女はこれは心中ではないと云い放つ。

果たして彼女の言葉の真意とは?

第三話(第三骨)は「薔薇の木の下」

櫻子さんの友人千代田 薔子(ちよだ しょうこ)の誘いで降霊会に参加することになった櫻子さんと正太郎。

その降霊会には北海道の大物が数名参加した。(この作品の舞台は北海道の旭川)

霊媒師は半年前に亡くなった薔子さんの夫を降霊させた。

その異様な空気に信じ始めた全員。一人を除いて。

櫻子さんは見事これがペテンであると云う事を暴いた。

しかし霊媒師には事情があるようなのだ。

と、以上三つの物語が今回一巻に挿入されている。

どれもこれも読み易く、またミステリーとして完成度も高いので存分に楽しめる一冊となっていることを保証します。

読んだ感想


先述したようにこの推理小説の構造は昔々から脈々と受け継がれた定番の筋道であり王道であるところの天才の探偵役が事件を解決するという展開。

そしてその構造を持った作品の多くは本格推理小説本格ミステリー、なるジャンルに配されることが往々であります。

しかしこの作品は少々テイストが違うような感覚を覚えました。

所謂どんでん返し系統のミステリー、綾辻行人さんの「十角館の殺人」などは最後の最後でそう云うトリックなのか! と驚愕する。

所謂ロジックシンキングで推理を展開する系統のミステリー、エラリー・クイーンの「Xの悲劇」などは、ふむふむ、こう繋がって、こういう考え方があったのか! とこれまた驚愕する。

けれどこの作品は違います。

正直驚きは少ないです。

この謎のトリックはこうですと論理的構造を示されたところで驚きには欠けました。

論理的にはかなっているが、なんというかトリックとしては少ない感じです。

しかしこの作品で伝えたいのはそこではない。

トリックの奇抜性で読者を楽しませるというよりかはこの事件に関わった人々の心情はどのように変化し、どのようなプロセスでエンディングに向かうか? と云う事を問いかけているのではないかと私は思いました。

ライトミステリーと謳っているようですが、確かに文章は軽快なテンポで紡がれます。けれど内実重厚的なストーリーで世界観を覆っている。ミステリーがガジェットになっているんですね。

何層もの皮を剥ぎそこには事件の解決以上の真実と云う名の「骨」が待っている。

是非読んでみてください!

最後に


久しぶりの更新で申し訳ございません。

どの作品を紹介しようか悩んだりしています。

と云うことでここまで読んでくださった方有難うございます。

今回はここまでです。

バイバイ(^_^)/~